整形外科 スポーツ難治性疼痛外来 PRP療法 ランニング障害

jumper

〒130-0026 東京都墨田区両国3-19-5 シュタム両国ビル2階

お問い合わせ03-6659-5173

ジャンパー膝 jumper

 

ジャンパー膝とは膝の前面に起こる難治性の腱付着部症の総称です。
このページでは多くのスポーツ選手が悩まされるジャンパー膝について解説したいと思います。

 

ジャンパー膝とは

1.どこが痛くなるのか

膝蓋骨(膝のお皿の骨)の上部や下部に痛みを感じます。
膝蓋骨の上部には大腿四頭筋腱が、下部には膝蓋腱が付着しており、この部分の損傷が痛みを引き起こします。

 

2.正式な病名

ジャンパー膝を解剖学的に詳細な病名にすると、大腿四頭筋腱付着部症・膝蓋腱炎・膝蓋腱付着部症などいくつかの疾患に分かれますが、病態は大きく変わりません。

 

3.解剖と病態

大腿四頭筋が収縮すると、大腿四頭筋腱・膝蓋骨・膝蓋腱を介して脛骨(すねの骨)を引っ張り、膝が伸びます。
腱そのもの(腱実質部)や、腱が骨に付着する部分(腱付着部)に起こる微細な損傷やそれに伴う炎症が痛みを引き起こします。また傷ついた組織の修復が上手く行われないと、変性した組織が増殖し痛みが慢性化する原因となります。また変性した組織では神経が不必要に発達することがあり症状をより強くすることもあります。

 

4.原因

繰り返しの慢性的な負荷が損傷を引き起こします。
ダッシュや切り返しを伴う強度の高い走動作や、ジャンプを繰り返す必要がある運動選手に発症することが多く、競技としてはバレーボール、バスケットボール、体操、陸上、サッカーなどが挙げられます。また、運動強度や練習量が増える10代から20代の男性選手に多いとされています。

 

5.セルフチェック

膝蓋骨(膝のお皿の骨)の上や下の部分を押すと痛みがあり、踏み込んだ時やジャンプ・ランニングで地面に足を着く時に重く響くような痛みを感じます。
症状が強くなると、膝を動かさない状態でも痛みが生じることがあります。

 

6.診断

上記症状に加えて、画像検査を用います。
超音波検査で、腱の変性した組織を確認することで診断となります。
MRIは炎症がある部分などを見ることはできますが、形を把握することがやや苦手な検査なので、腱が変性して肥厚しているかどうかを見るのには超音波検査が適しています。また診察室ですぐ確認できることから超音波検査が非常に有用です。
レントゲンで骨のトゲ(骨棘)があると言われたことがあるかもしれませんが、骨棘と痛みに因果関係はないとされています。

 

ジャンパー膝の治療

1.リハビリテーション

治療として一番大事なのがリハビリです。
大腿四頭筋のストレッチや膝蓋骨周辺のマッサージは痛みを和らげてくれますし、下半身のストレッチなど柔軟性の獲得も重要ですが、ジャンパー膝になる多くのアスリートは身体の使い方に問題があります。体幹や股関節を上手く使うことができず、膝の前面に負担がかかるような走り方や跳び方をしています。
そのような動作を修正するためには基本的な身体操作を習得するトレーニングが重要です。

 

2.ステロイド注射

腱付着部にステロイドを注射する治療は炎症反応を抑制することにより短期間で痛みを抑えてくれますが、長い目で見ると有効性はないとされていてます。
治る方は注射を打たなくても治るし、治らない方は注射を打っても治らない(もしくは再発する)というイメージです。複数回の注射によって腱の断裂などが起きることがあり、一回有効だったからといって痛くなるたびにステロイド注射を行うのは控えた方が良いと言えます。週末に大事な試合が控えているなど、近い時期に明確な目的がある場合は行っても良いかもしれませんが、治すための治療とは考えない方が良いと思います。
また競技種目や競技レベルによってはドーピング検査に引っかかってしまうこともあり、安易な使用は控えるべきです。

 

3.再生医療

①プロロセラピー
プロロセラピーはステロイド注射とは反対に炎症反応を引き起こすことにより、組織の修復を促そうというコンセプトの注射です。
原理的には体外衝撃波に似ていてブドウ糖の刺激や注射針が局所の細胞を壊すことにより、各種成長因子(組織の修復を促すタンパク質)の増加を促すとされています。主にアメリカで行われている治療法で、日本国内では認知度がまだ低く、行っているクリニックは多くありません。1-2週ごとに3回程度行います。
注射の際に痛みを感じることはありますが、長く続くことは少なく、治療期間中の運動の制限は必要としません。

②体外衝撃波
腱付着部の変性した組織には神経が発達していることがありますが、この余分に発達した神経(自由神経終末)を壊したり、痛みを伝える物質(発痛物質)の産生を減少させることによって、早期の除痛効果を発揮します。
当院では2週間ごとに3回から4回の照射を行っていますが、効果がある場合は2回目から3回目くらいで痛みが緩和することが多いです。また、各種成長因子(組織の修復を促すタンパク質)が局所で増加することで長期的には変性した組織が治癒に向かうとされています。照射中にいつも感じるような痛みを感じるのが特徴ですが、治療継続できないほどの強い痛みを感じる方は多くなく、照射後に痛みが続くこともまずありません。プロロセラピーと同様、治療期間中の運動の制限は必要としません。

③PRP療法
血小板に含まれている各種成長因子を患部に直接注射することにより組織の再生を促す治療法になります。
プロロセラピーや体外衝撃波は成長因子の産生を促しますが、PRPは集めてきた成長因子を直接患部に注射するというコンセプトです。使う血液はご自身のもので、採取した血液を遠心分離器にかけて、血小板の濃度を増やした血漿を抽出します。
PRPはPlate Rich Plasma(多血小板血漿)の頭文字をとった名前です。注射の際に比較的強い痛みを伴い、数日程度痛みや腫れ、かゆみなどが続くこともあります。治療は2-4週ごとに2-3回程度行います。治療期間中は運動の強度を下げる必要があり、近々大事な大会を控えているなど、シーズン中の治療には適していません。主にシーズンオフの時期に検討する治療と言えます。

 

 

再生医療

 

体外衝撃波やPRP療法は現在日本では保険適応になっておりません。
有効性を証明できる質の高い研究論文が現時点で、まだ多くはないということですが、体外衝撃波やPRP療法は海外では研究も進んできています。治療効果が期待できる治療法ではありますが、自費で高額になってしまうこともあり

1)スタンダードな保存治療もしっかりと。特に基本的な身体操作のトレーニングが重要
2)負担の少ない治療から選択。ステロイド注射は慎重に
3)シーズン中、シーズンオフなど時期で治療を使い分ける

このような観点から治療を選択していくと良いのではないでしょうか。
ストレッチやマッサージなどのセルフケアをきちんと行うこと、運動量や強度など患部への負荷をコントロールすること、基本的な走動作、跳躍動作を修正することが非常に大事です。
その上で、体外衝撃波やPRP療法を状況に合わせて選択することをお勧めしています。また負担が少ないということは、金銭的な負担だけではなく、副作用や痛みなど身体へ与える影響、生活や運動の制限など、様々なことを考慮する必要があります。特にステロイド注射はドーピング検査で陽性になる可能性もあり、安易な使用は控えるべきです。

両国きたむら整形外科

130-0026
東京都墨田区両国3-19-5シュタム両国ビル2階

  • JR両国駅東口 徒歩5分
    都営大江戸線両国駅A4出口 徒歩12分
    「両国駅前」バス停 徒歩5分
    「都営両国駅前」バス停 徒歩15分
    「両国四丁目」バス停 徒歩0分
    「緑一丁目」バス停 徒歩5分

  • お問い合わせ03-6659-5173

診療時間
-
-
▲…14:00〜17:30
【休診日 : 日曜日・祝日・年末年始】

平日の最終受付は午前12:00、午後18:30
土曜の最終受付は午前12:00、午後17:00