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マインドフルネス

日本に逆輸入された新しい瞑想法

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「マインドフルネス」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
マインドフルネスは、自分が「今ここ」で経験していることに、意図的に、評価や判断をせずに(偏見なく)注意を向けることです。
慢性的な痛みを抱える方や不安やうつで悩む方への治療法として活用されていて、マインドフルネスを取り入れた認知行動療法も開発されています。
これまでの認知行動療法が、痛みを抱える方の思考や行動の悪循環を修正しようとするものだとすると、その痛みや思考,感情と一定の距離をとることで痛みの過度な影響力を和らげるのが、マインドフルネスです。

マインドフルネスは、仏教の瞑想法に由来する心の使い方を意味する言葉で、マサチューセッツ大学医学部教授のジョン・カバット・ジン博士が、宗教的な要素を除いた心のトレーニングとしての瞑想法を様々なストレスを抱える患者さん(慢性疼痛やがんを持つ人たち、不安や落ち込みが強い人たち)への援助法として用い、心と身体の両方への効果を確認したことで、医療の分野で広く注目されるようになりました。

今では、病院を飛び出し、Googleやゴールドマン・サックス、P&Gといったアメリカの大手企業がストレスマネージメントや能力開発のために研修の場で用いるなど、日常生活をよりよく過ごすためのトレーニングとしても世界中で広く実践されるようになっています。

どこかにいった心を取り戻す

では、「思考自体と一定の距離をとる心の使い方」とはどういうものでしょうか? マインドフルネスでは、今の瞬間に体験していることを、ありのままに(偏見なしに)穏やかに観察します。
瞑想に10分でも取り組んでもらえばすぐにわかりますが、私たちの頭の中にはひっきりなしに様々な雑念が浮かんでいます。
つねにものを考え、つねになにかしらの思考を続けています。
その結果、われわれは容易に思考の世界に迷いこんで「心ここにあらず」の状態になってしまい、「これをしなければきっと悪いことが起こる」とか「あのときああしていれば良かった」などと考えては、ストレスを感じ、心と身体を消耗します。
さらに悪い事に、私たち人間は考えるのが得意なので、「考えたこと」を「現実」と思い込むクセを持っています。
「絶対に怒られる」と思って親に話したら、「ああそうなの。大丈夫よ」と肩透かしを食らったりしたような経験は誰にでもあるでしょう。
しかし、親に正直に話をしに行くまでは「絶対に怒られる」と考えて心と身体に負担がかかっているのです。
マインドフルネスを鍛えるマインドフルネス瞑想では、呼吸などの身体の感覚や心の状態を丁寧に観察することによって、頭の中で作られる世界に飛んでいってしまう心を「今、この瞬間」に引き戻し、心を「今」にとどめるようにします。
そうすることで、「考えや感情に支配された自分」から抜け出し、平穏な状態が訪れるというわけです。

難しく考える必要はありません。
以下で紹介するマインドフルネスの代表的な実践法を通して、自分の身体や心に生じる体験に意識に向けるだけです。
ただ、注意していただきたいのは、「今、この瞬間」に起こっている体験に気づきを向けるときは、評価や判断をせず(偏見や思い込みは持たずに)ありのままを見るということです。
評価や判断をするということは、思考の海にふたたび飛び込んでしまうことになるからです。
考えるのではなく、ただ感じるだけ、観察するだけにするのです。

リラックスしながら、自分の「今」を観察する

ここでは、そうした思考の連鎖を断つための実践法をご紹介します。
ただ、マインドフルネスの難しいところは、自分がちゃんと出来ているかわからない、ということです。
ですが、瞑想に正解も不正解もないので、瞑想中に起こったことをそのまま受け止めることに徹するのみです。
少しやってみて自分には無理だ、向いていないなどと思ってしまう人もいますが、瞑想は持続して実践することが大切です。
評価や判断せずに「今」にとどまる練習をすることにより、次第に思考や感情,痛みに振り回されることが減っていきます。
ぜひ、ご自身のライフスタイルにあった瞑想法にチャレンジしてみてくださいね。

(1)呼吸瞑想
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椅子や床に座り、自分の呼吸を観察します。
そのうちに呼吸から注意がそれてしまいますが、それに気づいた時は、そのことにただ気づいただけにしてまた呼吸に戻ります。

(2)ヨーガ瞑想
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呼吸を止めないように注意しながらポーズを取り、そこで生じる身体の感覚を観察します。
全身の動きを使って行う瞑想です。

(3)食べる瞑想
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じっくりと「食べる」ときに起こる体験を観察します。
味はもちろん、舌触りや噛んだ時の食べ物の形の変化、香り、口の動きや飲み込みたい衝動など、食べることを観察してみると、いかに普段「心ここにあらず」かがわかります。

(4)座る瞑想
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座りながら、呼吸や全身の感覚、音、思考など、今ここにある様々なものを観察します。
まずは呼吸瞑想など他の瞑想からはじめて、慣れてきたら座る瞑想にもチャレンジします。

(5)歩く瞑想
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歩きながら、足の動きや力の入り方の変化、地面を踏みしめる感覚など、歩くときに生じる身体の感覚に注意を向けて観察します。

(6)ボディスキャン瞑想
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仰向けに寝ながら、足先から頭のてっぺんまで、順番に全身を観察していきます。
CTスキャンのように身体を見ていくため、ボディスキャンと呼ばれます。

なぜマインドフルネスは慢性的な痛みに有効なのか?

痛みは普通であれば苦しいもので、まさに“苦痛”です。
痛みが長く続いていると今まで楽しめていた活動が楽しめなくなったり、何をするにも「このまま痛みは治らないんじゃないか…」、「外出先には休む場所があるだろうか」、「もっと痛みがひどくなったらどうしよう」などと考えて嫌な気分になったり、痛みを嫌がって外出を出来る限り控えたり(あるいは外出の距離や時間を短くしたり)することがよく起こります。
痛みが私たちの心や生活にまで割り込んできて、人生の邪魔しているように感じられます。
心当たりはありませんか?こうしたことは無意識のうちにパターンになっていますが、これらは痛みや嫌な気持ちの“ガソリン”になっていて、心身を少しずつ消耗させます。
痛みを失くそうとしたり、感じないようにしたり、無理やり我慢するような努力が、生活や心を窮屈にしてしまうだけでなく、痛みの持続にも一役買ってしまうのです。
そのため、マインドフルネスのように、今ここにある体験を、ありのまま感じられるままに留める訓練は、そうした悪循環を少しずつ変えてくれる可能性があります。

マインドフルネスの向かう先は、痛みを嫌がらずに受け入れて「痛みがあっても充実した人生を歩む」ところにあります。
「痛みを受け入れるなんて、良くなるのを諦めたってことじゃないか」と思う人も少なくないでしょう。
でもそうではありません。
痛みがなかなか消えないときは、「痛みを消すために何かしなくてはいけない」という考え方そのものが、痛みや嫌な気持ちに“燃料”を与え、心と身体が癒される機会を奪ってしまっているかもしれないのです。
「痛みがありつつも充実した人生」を目指してマインドフルネスに取り組んでいると、不思議と痛みが和らいでいくことがよく起こります。
これは、痛みを避けたり、無視したり、戦おうとしたりすることがしばしば“苦痛”の“ガソリン”になってしまっているからです。
しかし、これをただ知っているだけでは、今までのパターンを変えることは難しいでしょう。
だからこそ、マインドフルネス瞑想を実践する必要があるのです。
マインドフルネスで痛みとの付き合い方を変えることは、幸福な人生を諦めることとは全く違います。
むしろこれは人生を充実させるための“積極的な”チャレンジなのです。

当院での取り組み

従来の認知行動療法は思考や行動の悪循環を効果的に修正することを、マインドフルネス瞑想は痛みや思考、感情に振り回されない生き方を身につけることを目指しており、先程言った通り、ある意味では痛みを無くすことそのものを直接の目標にはしません。
しかし、どちらの場合も痛みに苦しむことがなくなり、「結果的に」痛みもしばしば減少していくことが分かっています。
どちらがより良いということではありませんし、どちらが取り組みやすいかは人によって異なるでしょう。

当院では、患者さんそれぞれの症状や環境、個性に合わせて、医学的治療、マッサージやリハビリ、そして認知行動療法やマインドフルネスなどを提供し、慢性的な痛みの総合的なケアを目指しています。
その中で、ご希望やニーズに合わせて認知行動療法やマインドフルネスを専門とするスタッフとのカウンセリング(認知行動療法)をおすすめすることもありますし、マインドフルネスの方法をお教えすることもあります。
また、同じ悩みを抱いている方と合同で、「マインドフルネスグループ療法」のようなセミナーの実施も考えています。
1人で悩まずに、ぜひ当院にご連絡ください。
1人でも多くの方に、痛みがあっても自分らしく充実した生活を送る術を知っていただきたいと思っています。